Mission Impossible


俺を除く全員が喜んでいる。
で、おもむろに彼女の写真が取り出された。
黒スーツの持ったアタッシュケースから。
同時に取り出された、プリントアウトの分厚い束。

「石田香菜。女。17歳。
 都立××高校3年生。男性経験ナシ。
 月経開始は‥‥‥」
「やめとけよ」
「?」
「もういいから」
「しかし、相手の事を知りたいだろ?」
「うんにゃ」
「どうして?」

「そろいもそろって、
 あんたたちはデリカシーのかけらもない人間だな。
 その女の子のこと、そんな根掘り葉掘り知りたくないよ、
 本人から聞きたいね、そういうことは。
 少なくともあなたの口からじゃ、イヤだな。俺は。」

「‥‥‥そうか。すまなかった。」
意外と素直な黒スーツ。

「しかし‥‥」
「わかってる。同じように、俺に関して、
 すげぇ細かいプロフィールが向こうに伝わってるんだろ?」
「そのはずだ。」
「いいよそれで。俺は俺だから。」

まぁ、お見合いみたいなもんで。ちょっと変わってるが。
ベッドインまでのスケジュールが先に決まってるわけで。

あらためて写真を見た。結構可愛い。俺の守備範囲内だ。
いくら事務的なセックスとはいえ、
性格も範囲内であるように願った。
お互い最初の相手なんだから、情報によれば。


「それ。おんなじですね。」
目の前の彼女が口を開いた。微笑みながら。
「なにが?」
「私も、あなたの情報は途中でことわりました。」
「どうして?」
「あなたと理由は同じです。自分で知りたかったから。
 あなたの口から聞きたかったから。」

やっぱ第一印象どおり、相性はいいみたいだ。

しばらくは、それぞれの子供の頃からのコトなんか話して。
そして今の生活のこととか、好きなこととか。
その結果、音楽と映画で趣味のかぶってる所がかなりあって。
結構いい感じで話が出来た。

しかし、
出会ってベッドインするまでのスケジュールが、
全部で一日しかないってのは、さすがにきつい。
それでも、彼女とフランクに話が出来たことは、嬉しかった。
彼女が同じように感じていてくれてるのがわかって、余計に。

しかし税金によって用意されたこの部屋。
さっき覗いた寝室の、ばかでかいダブルベッド。
そう、ちゃんと聞いておかなければ。

「あの、香菜ちゃんと呼ぶよ。」
「うん、それでいいですよ。」
「香菜ちゃん‥‥‥ あの‥‥」
「?」
「だから‥‥ その‥‥」

「あのこと‥‥ ですよね? それなら大丈夫です。」
「?」
「だから‥ 覚悟は‥ 出来てます。」
「そ、そうか。」
「そうじゃなきゃここに来てない。でしょ?」
「まぁそうだが。」

よかった。
やっぱり気が変わった、といわれたらどうしよう、
それでも押し倒すのが日本国民の義務か? と、
つまんないことを悩まなくて済んだ。

「あの〜、た・つ・お‥ さん‥ 
 う〜ん、やっぱり言いにくいものですね。急には。」
「まぁ本当はもっと時間が必要だからな。」
「そうですね。」

「よしっ! たつおさん! のほうはどうなんですか?」
「よしっ、って。ずいぶん気合いれてくれたね。
 そのこと、俺的には十分OK。
 まぁ、やりたい盛りっていうのもあるし。」

「そうなんですか‥‥」
なんとなく彼女の顔が曇ったような気がした。

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