僕と先輩~目の綺麗さと胸の立体感に抗えないのは罪?

夕方近くに始まった飲み会は、最初からテンションが異様に高かった。

なにせ、ゼミの4年の最後の一人が内定を得たのが1月になってから、さらに別の一人が卒業と同時に華燭の典をあげるという事態で、当該パートナー(かなりの美形男子)も来賓として臨席してたりした関係上、全員が寿&祝賀パレード気分だったのは否めない。

いや、一部、年齢=彼女いない歴の(僕のような)参加者にとって、「いいな、いいな」的な思いが胸中に湧き上がっていたわけだが、そんなうざったい自らの内面をことさら表にさらしたがる奴などいなかった。

「飲む?」
聞いてきたのは隣に座ってた中尾先輩だった。とっても目の綺麗な人だ。
そして胸元の立体感がどうしても視野の端に見えてしまう罪深き女性でもある。

向こうでは、新婦(予定)を囲んできわどい質問が飛び交ったあげく、かなりの大騒ぎになっている。
いやいや、うちのゼミがこの店に出入り禁止をくらわなきゃいいけど。

おっといけない、返事がまだだ。

「あ、はい、飲みます」
「なにそれ? こわがらなくてもいいのに。とって食ったりしないわよ?」

「いえ、そうじゃなくて」
「?」

好意を持つ当の相手とこんな間近で言葉のやり取りをしてるわけで、無論、そんな思いを告げられない苦しみの上に、気の利いた科白で追求を逃れる術もなく。

「生グレープフルーツサワー!」
僕は大声で注文を店の人に告げ、なんとかその場をごまかす。

「あたしもそれくださ~い」
ふりかえると、声の主はこちらを見て笑ってた。

思えば最初の頃、実験の仕方が下手なためこの先輩にかなりの迷惑をかけた。

もとから不器用だったのもあるけど、そばに顔を寄せられ、彼女特有の甘い香りがすると、ついフラフラと自意識が飛んでいたせいも半分。

それでもあいそをつかされることなく指導を続けてくれてたのは、先輩としてというより、弟の面倒を見ているような気分だったのかもしれない。

でも、そんな彼女に対して、僕の方はとっくに好意以上の思いを胸に抱いていた。

「いいわね、ああいうの」
彼女の興味は、世界の幸福を二人で独占しているかのようなカップルに移っていた。

「ですね」
僕は心から同意した。

「そういえば、君に関しては、あたしの知ってる限り、 女の影が見当たらない気がするんだけど、気のせい?」

唐突に先輩がそう言った。無駄話が一瞬途切れたときに。

酔っているとはいえ、きつい質問だ。

でもおちゃらけた雰囲気がない。その眼は正面から僕を見てる。

なんか全然笑ってないように見えた。 いや、気のせいじゃない。先輩、超マジモードだ。
覚悟を決め、ありのままの事実を告げることにした。

「いえ、正解です」
「そっか、ふ~ん。いないんだぁ~ ……あ、今の質問、傷ついた?」
「正直少し」
ほんとはだいぶ。

「ごめん」
「いえ」

その場の淀んだ雰囲気を流そうとするかのように、タイミングよくサワーが届いた。

「乾杯!」
「乾杯!」

「しかしヒロ君は紳士だね、いつも思うけど」
「どうしてですか? そんなふうに行動した覚えはありませんけど」
「ううん、逆に、しない、っていう意思決定も行動のひとつだし」
「?」
「そう、さっきの質問をあたしにそのまま投げ返したり、そういうのしないでしょ?」

「いやそれは」
聞くのが恐いという部分が大きいのもあったりするわけで。
決して紳士的な行動を目指してやったわけでは……

「じゃ、お答えします。ヒロ君のたってのお願いですし」

いや。お願いしてませんから。ていうか聞きたくないんですけど?

(ごく一部で『たって』るかもしれませんがそれは別の問題です)

「気になる人はいますが、お付き合いしてる人はいません。以上!」

……聞かなきゃよかった。
ゼミの先輩達の顔が入れ替わり立ち代わり脳裏に浮かぶ。
そして蛇足ではあるが、ごく一部は、激しく力を失った。

絶望的だ……勝ち目なんか全然ないよ。
みんな切れもんばっかだもんな、うちのゼミの先輩達。

なんでだろ。正規分布じゃないよあれ。
自分を卑下するのは趣味じゃないんだけど、公平に見てレベルが違う

……ひとときの夢よさようなら。悲しみよこんにちは。

「どうしたの? なんか皆既日食並みに暗いけど、この辺一帯が」
「気のせいです。それより……飲みましょう、せっかくですから」

なにがせっかくなのか自分でも意味不明だったが、その時はただ勢いが欲しかった。

僕は先輩の制止を振り切り、たてつづけにロックを頼む。

「なんかわかんないけど、うん、あたしも付き合おっか、後輩のためだし」
先輩はそう言って同じように飲み始めた。

それでも気分は晴れなかった。それだからこそかもしれない。
目の前の優しい女性が、決して僕の手が届かない華なんだと気付いたなら、なおさら。

多分僕は泣いていた。先輩の胸に抱きしめられて。
そんなおぼろげな記憶を最後に、僕の意識は途切れた。

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「あっ!」

そもそも、自分の出した声の大きさに目が覚めるなんて、初めての経験だった。
しかし、なぜそれほどの声を自分が出したのかについては、すぐに理由が判明した。

ひとつは、まだ焦点の定まらない視野に揺らめく人型をしたなにか。
さらにもうひとつは、下半身からもたらされる形容しがたい強烈な快感。

目に映るものの輪郭がすぐさま鮮明になる。
こちらむきで、またがるように僕の腰に座る女。
そのゆるやかな上下動につれて、大き目の乳房がたゆんたゆんと揺れている。

彼女の股間がちょうど僕の下半身の真上にあって、僕らは今、まさしく交わっているのだろうと推定できた。

それが証拠に、異様にからみつく粘膜で僕自身が包まれ、おそらくその場所からと思われる、とてつもない快感が僕の脳に送り込まれているのだから。

その女は顔を伏せていて、最初は誰だかわからなかったが、キュッ!っと僕自身が強くつかまれた感覚と同時に、「あァッ!」と嬌声があがり、その顔がこちらを向けられた。

中尾先輩だった。
半分とろんとした目でこっちを見てる。
何度見ても綺麗な目だと思う。ほんとに。そして胸も。負けないぐらい魅力的だ。

ようやく、僕が目覚めていることに気付いたようだ。

「あっ!」
彼女の動きが止まった。

二人の下半身に目を向けると、陰毛が絡まったような密着部分だけが見えていて、さすがに接合部の詳細はこの角度からうかがい知ることができない。

それでも感覚は、彼女の一部である粘膜が僕の分身をしっかり捉えたまま、ゆっくりヒク……ヒク……と動いている事実を伝えてきている。

再度見上げると、非常にバツの悪そうな顔がそこにあった。
いたずらを見つけられた子供のような。ちょうどそんな感じの。

そして、見る間に泣きそうな表情に。
肩が震えている。
なんか、胸のボリュームに比べその肩がやたら細く感じた。
やっぱり、おんなのこなんだな、と思う。

僕は彼女の泣き顔を見たくないと思った。なんとなく。
だから、半身を起こし彼女の両肩をつかんで語りかけた。

「泣かないで」

僕の行動と言葉に虚をつかれて固まってる、そんな彼女の唇に僕はキスをした。

今思ってみても、気の小さい僕にできたコトとは到底考え難いものだったけれども、ともかくそれは咄嗟の行動だった。ほとんど脊髄反射的な、そんな感じの。

チュッという小さな音が、無音の部屋でしっかりと響く。

唇を離したあとも、彼女の両眼は大きく見開かれたまま。
さて、まず最初になんと言ったらいいのだろう、こんな場合。
まだアルコールの残る頭で、僕は必死で考えた。

そして答えはひとつしかないことに気付いた。実行あるのみ。

思いのままに、僕は彼女をギュッと抱きしめ、再び唇を重ねた。
激しく、むさぼるように……

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とてつもなく長い間、キスをしていた気がする。
もう今まで我慢していた分、一年分を全部とりかえすのが目的みたいに。

ついでながら、腕の中のぬくもりは、それだけで心を満たすものだと知った。
生まれて初めて。

おんなのこはすごい! って世界に告知したい気分。

そして唇を離したとき、下半身が繋がったままなことに気付く。
なんかいけない状態に思え、そっと先輩の腰に手をかけ、とりあえず穏当に退去していただきたい当方の希望を、行動で示した。

彼女が意図をくんで腰をあげたとき、ふっ、と戸外にさらされたような感覚になった。
そう、あれが。
暖かく包まれた状態から、なんか放り出されたような寂しさに襲われる。

見回せばここは見慣れた自分の部屋。
ベッドの上に彼女と僕。揃って裸で正座してて。滅茶苦茶ヘンな状態。

「ごめん」
正座した先輩が唐突に頭を下げる。
胸が揺れた。先端がピンクだ。ふたつ。我知らず手が伸びそうになった。
それほど魅力的な光景だった。なんとか我慢する。

彼女の謝罪には、彼女的にそれなりの根拠がある。

状況から見るなら、正体無く酔っ払った僕をここまで連れて来てくれて、そこまではよかったのだが、先輩はそこで『送り狼』へと変身してしまい、そしてさっきの状況へと続いたわけで。

「ひとつだけ答えてください」
「はい」
先輩は顔をあげ、こちらに向いた。

つられて乳房もゆるやかにたおやかに動く。ふたつとも。その微妙な曲線を変形させながら。
そして正座する太ももの奥には黒いものが垣間見えてたりする。

それらの情報と推測が大脳で統合された結果、僕の一部分が激しく反応した。

これはもう、ピサの斜塔から落とされたふたつの球が同時に地面に落ちるぐらい、曲がりなりにも男のはしくれである僕にとって、必然的な結果だった。

というわけで、僕は反乱児を手でおさえながら話を始めた。いや、多分ばれてたんだろうけど。

「今から……襲おうと……思ってます……いいですか?」
「え? は? そ……あ、は、はい」

ひどい会話だと思う。どっちも。
しかし、宣戦布告は重要なプロセスなので省略するわけにはいかない。
こういう場合には特に……いや多分……

そんな高尚な思想とは裏腹に、言葉が終わる前に僕は彼女に飛びかかっていた。
我慢できるわけが無い。童貞だし……いやさっき知らないうちに卒業してたんだけども。

とはいっても、片手で背中を支えながら押し倒して、ソフトランディングを心がける余裕はしっかり持っていた自分に拍手。

思いっきり抱きしめたら、なんかこわれそうに華奢で、あわてて手を緩めた。
肋骨の2~3本折れちゃうんじゃないかというぐらいに、強度不足の構造物だった。
確かにアダムの肋骨1本分なのかもしれない。

気をつけながら、あらためて襲い掛かる。

唇を奪い、首筋にしるしを刻み、両手で乳房を弄び、乳首を唇と舌でこねる。
ウッ、と彼女はそのたびに小さくうめき、細かく体を震わせる。
リアクションの素晴らしさに、ついつい楽しんでしまった。ごめん先輩。

特に、指の形にへこむ柔らかい乳房はその白さとあいまって、一生飽きることなく、彼女のこの胸を揉み続けることになるのだろうと、僕は確信した。

いや、正確に言えば、この快楽から死ぬまで逃れられないだろうと。

乳首を舌で転がしながら下半身に手を伸ばす。
陰毛を乗り越えた場所は最初こそしっかり足が閉じられていたが、待つほどにゆっくりと、『僕のために』開かれていった。

すべすべの太ももの表面を堪能しながら中心に向かって指を伸ばすと、所在不明な至極柔らかなものが指にからむ。彼女の体のやわらかいものが。

ふぁっ。
彼女の口から吐息が漏れた。
同時に僕の頭が両腕で抱え込まれた。

ぐねぐねしたものをたどり、は下へと探索を続ける。
ふと力を入れたら、そのまま中へと指は潜り込んでいった。
僕の頭を抱え込んでた腕が、こんどは僕の両肩をつかむ。

指に粘液がからむ。かすかな音がした。ピチャって。
潜り込ませた指の先端が暖かい水溜りのようなヌルヌルの場所に辿り着いていた。

湧き出るものの先がおそらく目指す場所なのだろうと直感した。

中指に力を込めると、スッと第一関節まで飲み込まれた。
彼女がのけぞってうめき声をあげる。
そのままゆっくりと埋める。

ハァハァと連続した吐息が聞こえる。
指が柔らかくあたたかく包み込む場所の情報を得るにつれ、さっきからカチンカチンになったものを、その場所へつきこみたくなった。

一刻も早く、そして奥まで。

一度体を離しベッドから降りて、たんすの引き出しからコンドームを出して装着する。

そういえば、さっき彼女はあのまま射精まで許すつもりだったのだろうか?
僕が酔っている間のあの交わりのときに。

もしそうであるなら、意外に彼女彼女、直情径行タイプなのかもしれない。

だとしたらこれから……これからがあるなら……僕が気をつけないと。
なにせまだ、彼女は1年、僕は2年、大学に通う予定があるのだから。

まぁ、子供ができても一向に構わないが、あえて人生の局面を難しくする必要は無い。

彼女のとこに戻り、あらためて足元に座る。
あわてて閉じようとした足を両手でつかむ。
多分嫌がるだろうとは思いつつも、脇に抱え込み折り曲げるようにしてしまう。

僕の目の前には彼女の中心があからさまに見えている状態だ。
これなら不慣れな僕でも的を外すことはないだろう。

恥ずかしげに顔を横に向け、しっかり両目を閉じている姿に、僕の分身はさらに硬度を増し、痛いほどになった。

先ほど指で確かめた場所にあてがう。
すでに外までヌルヌルが染み出ていて押し込むための苦労はなかった。
ゆっくりと腰を進めると、とてもスムーズに押し入っていく。
ほどなく僕の全てが彼女の中に収まった。

足を抱えてた手を離し、彼女の上に覆いかぶさる。

彼女は気配を感じたのか正面に顔を向け目をあけた。
僕の顔を見つめ、小さくつぶやいた。恥ずかしそうに。

「好き」

その笑顔は恥ずかしそうで、僕の心はその仕草にとろけてしまった。

「僕も」

その言葉と共に、彼女は僕を抱きしめて引き寄せ、唇を求める。
お互いの舌が境界線を越えて妖しくからみつく。
激情に駆られて唇を強くすりあわせるたびに、彼女の中がギュッギュッと僕を締め付ける。

そのまま僕は腰を動かし始めた。
二人の繋がってる場所からは、粘液の立てる音が隠しようもなく聞こえている。

あまりにも気持ちよくて、そして憧れの彼女と今セックスしてるんだという興奮で、僕は自分を押さえられず、欲望に駆られるまま激しく腰を動かし始める。

彼女はといえば、「ヒロ君」と「好き」という言葉をランダムに連呼して、体をくねらせのけぞらせ、時として硬直して、という姿を惜しげもなくさらし、こっちとしてはその乱れ方を目の前にして無思考状態に陥って、もう奥へ奥へと自らの分身を叩きつけるだけの獣と化していた。

硬直したものの根元のほうから、よく知っているあの感覚が押し寄せてきた。

来る。

「彩香!」
僕は叫ぶように彼女の名前を呼んだ。生まれて初めて。
最後まで彼女の中を味わいたくて腰をふり分身を奥へと突きこみながら。

上半身を僕のぶつける腰のせいで激しくゆすられながら、彼女が目を開けた。
耳にした言葉に気付いたのだろう、やっと。

そして叫んだ。

「ヒロ!」
彼女の両足が僕の腰のところで組まれ引き寄せてくる。
同時に僕を包むものが激しく収縮した。

そんな強烈な攻撃にひとたまりもなく僕は射精を開始する。

コンドームがあるとはいえ、更に奥へと注ぎたい思いが強く生じて、ぐっと押し付けたまま、彼女の一番奥に向かって幾度もいくども射精を繰り返す。

彼女の両足は硬直し、少し痙攣している。

永遠に続くかと思われた精液の噴出が終わりを告げたとき、僕はこの夜初めて、落ち着いた気持ちで彼女の顔を見ることができた。

なにせ始まりがあんな状況だったのだから、それもあたりまえというべきだろう。

僕の視線に気付いたのか、彼女が閉じていた目を開けた。

「ごめんね」
「え? なにが?」
「あたし、初めてじゃなくて」
「あ、あぁ、そんなこと」
「でも、ヒロ君は初めてで、それもあたしがあんなふうに」
「ちょっ、ちょっ、ちょっと待って」

不思議そうな顔で彼女は僕を見つめてる。いやぁ、メチャ可愛い。
この至近距離で、なおかつ下半身が繋がったままなのがポイント高いし。
これは最高!

「あの、やっとさ、大好きな人とこういう状態になれて、 もう、最高に幸せなわけ、今の僕は。
 じゃ、先輩はどんな気持ち?」

「そりゃ、すごく……あの……うれしいというか、 なんていうか、満ち足りてるっていうか」

「でしょ? じゃ、なんの問題もないということで」

「やっぱり……ヒロ君は……紳士だね」
「そうかなぁ」

コンドームを押さえながら彼女の中から分身を抜く。
いやいや恐ろしいほどの大量の精液とご対面。
生でやったら、こりゃ妊娠間違いなしだろうってぐらいな感じ。

「でも、ひとつ」
腕枕して、僕の首筋に気持ちよさそうに顔を埋めてる女が不穏な言葉を吐く。

「え、なんですか、先輩」
「だからその、先輩、っていうのがね、イヤなの」
「あ、あぁ、はいはい、これね。でもなんか習慣というかそんな感じで」

「でもさっきは呼んでくれたよ、名前で」
見えないんだけど、多分恐い顔してる。

「え? あ、確かに、呼んでたよ~な」
「でしょ?」

いや、あの場合、もう感極まって出ちゃったというか、やっぱり「出る」ときには、つい勢いで口からも出ちゃったというか、いやまぁ。

「まいっか。それは次回のお楽しみということで」

セーフ。ぎりぎりだったけど。

と、思ったら、プレッシャーから開放されたせいなのか、先ほどまで元気の無かったやつが急に主張を……
もう彼女のおなかにしっかりと実体をもってぶつかってて……

多分、いや確実にばれてるというべきだろう。
心なしか彼女の首筋が赤くなってる。

いや、そりゃ、そんな3Dおっぱい(推定Eカップ)を押し付けられた状態じゃ、男としちゃひとたまりもありませんですよ、はい。

「すみませんが」
「はい、なんでしょう?」
口調はちょっといたずらっぽい。

「さきほどの紳士の称号、辞退させてもらってよろしいでしょうか」
「??」

「新たなる称号は、そう、けだもの……ということで」

返事は待たなかった。紳士じゃないのだから当然だ。

さきほど忘れてた、クリトリスなるものの存在を確認するために、僕は彼女の太ももの真ん中へと急いだ。

翌朝、僕が彼女から貰った新しい称号は「変態」だった……

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目が覚めたとき、隣の彼女はとても穏やかに熟睡中だった。

差し込むおだやかな朝陽の中、わずかに微笑んでいるようなその表情を見て、思わず「天使だ!」と小さく叫んだのは内緒だし、さらに掛け布団をはぐって、胸と下半身をそっと覗いたのは、天使を冒涜する行為としてレベル4の重大秘密となった。

「ないないしましょうね」
そっと布団をもどし、暖房をつけ、手早く服を着る。
コーヒーメーカーをセットし、チーズトーストと簡単なサラダを用意する。

レタスを手でちぎってると背後で衣擦れの音がした。
振り向けば、彼女がパンツをはいているところだった。
2秒ほど、その素敵な景色を堪能する。

「ばか! あっちむいて!」

視線に気付いた彼女が吼えた。その剣幕にあわてて体勢をもどす。もっと見ていたかったが、これから先いくらでもチャンスがあるさ、と諦めた。

振り向くことなく、疑問点を口にしてみる。
「でも、ゆうべ、あんなことやこんなことを一晩中」
「そういう問題じゃないの!」

どうも僕は甚だ女心にうといようだ。一層の精進を誓い、食事作りに専念することにする。

「カップはこれでいいの?」
すぐそばで声がした。振り向くと彼女が食器棚の前に立って、コーヒーカップを持っていた。

当然、ちゃんと服を着てる状態。

「うん、それ。あとお皿、サラダ用とパン用にどれでもいいから二組」
「了解~!」
機嫌が良くてひと安心。

「いただきます」
声を合わせ食事に取り掛かる。

一人で食べるのとは全然違う。

いや確かに性欲面での充足度がMAXなのもあるんだけど、惚れた女が目の前で、微笑みながら一緒に食事してるってことが、これほどまでに素敵なことだとは知らなかった、ほんとに。

おそらくこれからずっと続く、続かせたいと願う、そんな時間が、始まった瞬間だった……

Fin

2013-10-29 サイトオリジナル