泊まっていくか…!?


「あ、もうこんな時間、あたし帰ります」
「オレ、送っていくよ…」
「それ、無理だと思うんですけど」
彼女は松田のギプスを見ながら微笑んでる。

「あっ! そう…だよな。
 途中で転んで、さっきみたいに柔さんに迷惑かけちゃってもな、ハハッ」

松田の笑い声が途切れたあと、時計の音だけが部屋に響く中、
柔がその静寂を破る。

「……ずーっと前みたいに、泊まっていっちゃおうかな……」

衝撃的なその科白に松田はビールを噴出す。その晩二度目だった。

「あ、冗談です」
「そ、そ、そ、そうだよな」
「もし、泊まったりしたら、松田さんまた外で寝なくちゃいけなし」
「いやぁ、それは勘弁だな。このうえ風邪引きたくないし」
「ですよね」
「ハハハッ…………」

松田をせきたてるなにかがそこにあった。その時だけ。

「ほんとに……泊まっていくか?」
「………」
「あ、いや、今のは…… 冗談……」

「あの、あたし…」


「柔さん。ごめん。今の、忘れて」
「えっと、ちょっと、いいですか」
「は?」

柔は立ち上がり、松田の隣に正座する。
「ほんとうは… どうなんですか?」
彼女の瞳がまっすぐに松田を見つめている。
その場しのぎをいう場面でない。松田はそう思った。

「……君にここに居てほしいと思った。本気で」

それを聞いた柔は、無言のまま松田の肩にもたれかかる。
「よかった」

短くともさらさらの髪が松田の首にかかる。
なんともいえない清潔感のある香りがおしよせる。
考えることもなく、もたれかかる柔の髪を松田の左手がなで始める。

「なんか、お父さんに抱っこされてるみたい」

彼女はその並外れた才能ゆえに父親と離れ離れで育ってきた。
今日の準決勝・決勝のような強烈な勝負を日々繰り返しているとは言え、
それでも彼女自身はただの女の子にすぎない。
松田はそんな柔の素顔をまのあたりにして、
少なくとも彼女にひとときのやすらぎを与えられたら、と思い願う。

彼女に今必要なのは国民栄誉章なんかじゃない。
心の落ち着ける場所、それだけなんだ。


だが、そんな彼のやさしい思いとはうらはらに、
思いもかけぬことに下半身の一部が存在を主張し始める。
見るとズボンの一部が不恰好に盛り上がり始めていた。

「こ、こら! やめろ! 今はそんな場面じゃない」
心の中でつぶやいたはず、そのはずだった。

「どうしたんですか? 松田さん」
不思議そうに彼女が松田を見ている。
思わず口に出していたようだ。

そして彼女はチラチラ松田の視線が動くのに気づき、
その方向を見ようとした。
まずい!!
あわてて松田は彼女の両頬を押さえ自分の顔に向ける。
「えっ?!」
柔は驚いて松田の顔を見つめる。

ほんの数秒のとまどいのあと、彼女はゆっくりと目を閉じた。

松田は何が起きたのか一瞬理解できなかった。
彼女の両頬をはさんだ自分の手。
目の前に目を閉じ無防備な柔。心なしかその顔が赤い。

やっとのことで全てを理解した松田は、彼女の頬に触れていた手を離す。
そして今度は柔の両方の二の腕を強くつかみ、迷うことなくそのまま唇を重ねた。
両腕は彼女の体全体を抱きしめる。
柔の腕も呼応するように松田の背中へとまわる。
そのまま柔を押し倒すように松田は彼女に覆いかぶさってゆく。


長い陶酔の時間を経て唇が離れる。ほんの10cmの距離で互いに見つめあう。

「柔さん。オレ」
柔は松田の唇にひとさし指をあてる。
「何も言わないで…… このまま……」

再び下から柔は松田を強く抱きしめる。
「気持ちいい……」
そう言いながら彼女は松田の頬に自らの頬をすり寄せる。

松田もそんな彼女を抱きしめた。再び熱いキスが繰り返される。
腕の中の柔を離したくない。松田の心にそんな思いがふくらむ。

「あの」
松田の耳元で柔が声を出す。とっさに起き上がろうとする松田。
しかし柔の腕に力が入りそれを妨げる。流石に松田はそれに抗えない。

「このまま、聞いてほしいんです」
「な、なに?」
「あたし…… もう子供じゃありません。だから……」
「???」
「いいんです。松田さんが…… そうしたいの…なら」
「!!!」

松田の頭の中は混乱の極地となっていた。
柔さんが…… オレと……?
ぎごちない笑顔が彼女の意思の全てを物語っていた。


無言のまま布団を敷く二人。流石に恥ずかしさは隠せない。

布団の上に横たわる柔。さすがに恥ずかしいのか、
早い呼吸をくりかえし胸が上下するのが見える。
松田は部屋の電気を消した。
彼女のシルエットがぼんやりと月明かりに浮かび上がる。

そばに腰をおろし横たわる柔のブラウスに向かう。上から順番にはずす。
左右に広げると、うっすらとピンクの色をしたブラが見えた。
ブラが覆っていない場所に見える素肌が微妙になまめかしい。
衝動的に松田はそこにくちづける。
予測しない刺激に柔の体がビクッと跳ねる。

かまわず松田はキスをくりかえす。
柔はなすすべもなく、松田の頭を抱える。
時折、ためいきのようなものが柔の口からもれ出ている。

ブラスを脱がせ、二の腕や肩にも松田はキスの雨を降らせる。
首筋にキスをしたとき、柔の口から「あっ!」と声が出る。

スカートも脱がされた柔は布団の中に逃げ込んだ。
松田は立ちあがりズボンを脱ごうとして転びそうになる。
「あわてるな!」
そう自分を叱り付けると腰をおろしてゆっくりと脱ぐ。
布団をめくってそっと中に入る。
松田の肌に、柔の肌が触れる。


軽くキスをして、腕・腰・足と順番に手で触れていく。
ブラのストラップに手を掛け両肩から落とす。
胸のカップをめくるようにして、出てきた乳房に松田はくちづける。

「っ!」

短い吐息にも似た叫び声がした。
両方の乳首を交互に舌で刺激をくわえる松田。
柔の口からは「あっ、あっ」と途切れなく声が漏れ始める。
乳首が固くなっていくのを松田は気づく。

「ちょっと… 待って…」
「?」
柔は自らの手を背中に回しブラのホックをはずした。
苦もなく松田がブラを脱がせる。

ふとんを肩にかけたまま松田が突然起き上がる。
当然のように、柔の裸の上半身が晒されてしまう。
「いやだ、恥ずかしい!」
あわてて布団をつかもうとする手を松田の手が止める。
柔の抵抗が徐々に弱まる。

両方の手が性急に柔の乳房をつかむ。
「痛っ!」
不慣れな松田に力加減がわかるわけもなかった。
「ご、ごめん」
「んん… もう、大丈夫」


「痛くない?」
もう、松田はあせることなく、ゆったりと乳房をもんでいた。
「大丈夫。でも……」
「?」
「あたしの小さくて…… つまんないんかもって…」
「な、なにを突然」

「だって、やっぱり邦子さんみたいな大きいほうが男の人って」
松田の手が止まる。
「あのさぁ」

「もしかしたら、さっき片付けてくれたときに、
 つまんないもん見たのかもしれないけど、別にあれは……」

鴨田! おまえ持ってきてくれるのはいいけど、
ちゃんと持って帰ってくれよ、ビデオとか本とか。
なんでオレが今こんなに苦労しなきゃいけないんだよ!
松田は鴨田に対して心の中で毒づいていた。

「ともかく、君の胸は小さくないし」
「ほんとに?」
「え、あ、いや、他の女性のを触ったことないから、正確には」
「んもう、エッチ」
そう言いながらも柔は笑っていた。

「どっちにしろ、オレは君の胸を誰かと比較しようと思ってないから」
「でも、それって微妙にフォローになってないような……」
「あ、あ、だから」
「冗談です」


「意外と性質わるいんだ柔さんって…… 
 そうか、そんな意地悪なコには」

言葉が終わるとともに松田は、両手で乳房をつかみながら、
器用に指先で乳首を刺激し始める。
不慣れとはいえ快感を覚えているのか、柔が首をのけぞらせる。

さらにその体勢のまま、松田は彼女のももに唇を落とす。
両足を交互に動き回る唇は時として中心部へと向かうそぶりを見せる。
柔の両ももがそのたびに固く閉ざされる。

幾度かの戯れの後、突然松田の唇が柔の太ももの奥へと着地した。
「あっ!!」
部屋中に広がるような声が出る。
「だ、だめっ」
男の唇がパンツ越しとはいえその場所に触れていることに、
平然としていられるわけもなかった。

その言葉に従うかのように唇が離れる。
両手も乳房への愛撫をやめる。
しかしその手はそのまま柔のパンツの両サイドに辿り着いていた。
松田はためらうことなくそれを足元へと引き下げる。
と同時に彼は布団から抜け出る。

すべてのものが取り去られ、柔はもう待つだけの気持ちになっていた。

「ちょっと、待って」
そう言って机のそばでごそごそしている姿を柔は不思議な思いで見ていた。


「あった」
「えっと、こうやって……  よし、オッケー!」

再び布団の中に入ってきた松田に柔は問いかける。
「あの、今のって」
「あぁ、ちゃんとつけてきたから、心配しなくていいよ」

答えのかわりに、柔は感謝の抱擁をする。

「……好き」
「おれもだ」

今まで以上に深い思いをこめて二人はキスをかわす。
その状態のまま、松田は柔の足を広げながら腰を入れる。
片手で自分のをつかんで狙いを定める。
腰を前へと……

入らない。もういちど……

「や、柔さん」
「は、は、はぃ!」

訪れる事態に恐怖を覚えて体を固くしていたのか、彼女の返事は上ずっている。

「あの、場所が…… えっと… わかんないんだけど」
「?」
「だからその、入れるとこが。柔さん、わかんないかな?」
「えっ、あの、あたしも… わかんない…」
「そっか」

284 名前:泊まっていくか…!? 10/14[sage] 投稿日:2006/06/30(金) 01:07:03 ID:baeUJn9K
「変だな、いったいどのへんに…」
あれやこれやと探っている松田。恥ずかしさのあまり柔は声も出せない。しかし、

「あっ」
松田の声と柔の声が同時にする。
「ここ、かな?」
「えぇ、あたしも多分そこだと」

「イタッ!」
「大丈夫?」
「多分」

幾度かのトライのあとで、どうにか二人は身体をつなげることができた。

「なんか、うれしい」
松田は別な意味で感動していた。
こんなにも中が気持ちいいとは思いもしなかったのだ。
軽くうねるように締め付けているのは間違いなく柔さんのもの。
目の前にいる彼女が間違いなくオレのモノを受け入れていて……

彼女の中へ激しく噴出させたいと思う欲望とは裏腹に、
ギプスを固定された身では満足な動きすらできず、松田は生殺し状態にあった。
何度か試すがどうしても狙った動きにならない。
もどかしさに狂いそうになってしまう。

「あの……」
「え゛?」
「なんか、足の利かないのが大変みたいだから」


気づかれたか……
まぁ、あえてこんな状態で無理する必要もないか。また日を改めてで。
松田がそう考えて口を開こうとした瞬間だった。

「あたし、やります」
「えっ?」
「だって、あの、松田さんに気持ちよくなって欲しいから。
 あたしが上になれば、多分……」
その声は消え入りそうだった。
恥ずかしさをこらえながらの柔の精一杯の思いに松田は感謝するしかなかった。

「でも」
「お願い」

布団をはねのけ、柔はひざ立ちで松田の腰をまたぐ。
固いままの松田のものをつかみながら腰をおろす。
見つめる松田の視線に気づく。
「み、見ないで、恥ずかしいから」

目を閉じた松田は、再び彼女の柔らかさに自分の分身が包まれたのを感じた。

「どう… 動けば」
その声に松田は閉じた目を開く。

全裸の柔が自分の腰にまたがり、松田のものを受け入れている。
二つの乳房が立体感をみせ、目の前で呼吸とともにゆるやかに上下して。
戸惑いを見せるその顔は赤く、見たこともないほど素敵だった。
松田は綺麗だと思った。


「そんなに見られると、恥ずかしい」
「でも、すごく綺麗だ、柔さん」

羞恥に耐えられず、柔は身を伏せて松田の胸に身を投げ出す。
そんな柔の姿を見て、
早く終わらせてあげたほうがいいのだろうと、松田は考えた。

「柔さん、そのままでいいから、すこしお尻持ち上げて」
「こ、こう?」
「それから降ろして」

「そう、それでいい。繰り返して」
「はい」

部屋は二人の熱気で温度があがっていた。
柔はゆっくりと腰の上下をくりかえしている。
稚拙なその動きが彼女の精一杯さの表れとして松田の胸に迫る。
同時に彼女の中で自分のものへともたらされる刺激に、
彼自身の終点が近づきつつあった。

「柔さん」
「?」
「ゴメン!」

二の腕をつかんだ松田は無理やり柔の上体を起こす。
そして両手でその細い腰をつかんで、自らの腰をぶつけるように突き出す。

「あっ! あっ!」
まぎれもない喘ぎ声が柔の口から出る。


あるいは痛みとも快感ともつかぬ未分化なものかも知れなかった。
だがそれは松田にとって、昔から見慣れていたはずの彼女が見せる、
初めての痴態であることにかわりはなかった。
彼女の中へと送り込まれる自分の欲望の形。
目の前で揺れる彼女の乳房。そして口からはとぎれることなくあえぎ声。

その姿に松田の興奮は高まり続け、そしてすぐに終わりへと突入する。

「柔さん!」
大きな声をあげると同時に、松田は腰をつきあげ、
なるべく奥へとねじこみたいという欲望のまま、自らを強く押し付ける。
もたらされた衝撃的な感覚に柔は首をそらしてのけぞり、悲鳴をあげる。
松田のものは、そんな柔のなかでいくどとなく痙攣し、激しく射精する。

数秒、そのままの体勢が続いた後、力尽きた柔は、
松田の腕にしがみついたまま横倒しにゆっくりと倒れていく。
先ほどまでの激しい交わりのために、二人とも汗だくになっていた。
松田は、彼女のひたいに汗でこびりついた髪をかきあげて、その目を見る。
彼女は天使のように微笑んだ。

「ありがとう、柔さん」
「あたしが言いたかったのに、それ。松田さん、ずるい!」
「え? んじゃ、お礼のキスを交換ということでいいか?」
「うん!」

なんでこんな簡単なことをためらっていたんだろ?
こんなに長い間そばにいて、『好き』とひとこと言えばよかったのに。
いつまでも終わらないキスの間、二人は同じ思いを抱いていた。
そしてそのまま眠りにつく。欲しかったぬくもりをそばに感じながら。


朝、松田が目覚めたときに、柔はきちんと服を着ていた。
「ん?」
「恥ずかしいの!」
そんな彼女の科白に、昨夜の今日で、と松田は不思議に思ったが、
口に出すことはしなかった。そんなものかもしれないから。

ほどなく身支度を済ませて二人は部屋を出る。
苦労して階段を降り、道に出たところで、遠くから誰かが駆けてくるのが見えた。
とっさに柔は物陰に隠れる。

「耕作ゥ〜!!」
それは邦子だった。辿り着くと同時に彼女は泣き出す。
「ど、どうしたんだよ邦ちゃん、いきなり」
「だって、だって」

聞いて見ると、昨夜、足を痛めて休んでいる松田のために、
お泊りセットを持ってこちらに向かう寸前、編集長の「お願い」が炸裂。
他のライターのかわりに記事を書く羽目におちいってしまって、
やっと今、開放されたとのこと。

ひしと松田に抱きつく邦子。
その肩の向こう、柔がそーっとこの場から離れようとしている。
気づいた松田に彼女からウィンクが送られる。
お返しにと松田も真似したが、不器用さは否めない。
きっちり両目をつぶってしまい、それを見た柔が小さく笑う。

柔が急ぎ足で道のかなたへと消えていく。
邦子を振り返らせるわけにはいかず、松田はその抱きつき攻撃に耐える。

それが後日新たな誤解を生みだすことなど、知るはずもないまま…


fin


2006/06/30 at Yawara5
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