瑞希と俺とすこしだけ

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瑞希と俺とすこしだけ by musique 2007/12/25(火)22:26 No.77042 to 2007/12/27(木)22:05 No.77301


「もう…大丈夫なのか?」
「ほら、こんな感じ!」

 さっき、授業中に具合が悪くなって、
 瑞希はクラスメイトに付き添われて保健室に向かった。
 昼休みになっても戻ってこなかったので、様子を見に来たら、
 奴は予想外にピンピンしてて。

「今日、貰った鎮痛剤がすげぇ良く効いてさ」
「そっか」
「前の時間に戻ってもいいぐらいの感じだったんだけど、
 『もうちょっと居ろ』ってうるせ~から」

「瑞希ちゃん! あなたまだ女の子の体に慣れてないんだから、
 無茶は禁物なのよ?! わかってる?」
 見えない所からキョーコ先生のお説教が飛んできた。

「は~い」
 瑞希がふてくされたように返事をする。

 声を潜めて瑞希が俺に話しかける。
「しかし最悪だぜ、この生理痛ってやつ。2回目だけど、やっぱきつい。
 知らなかったよな~ クラスの女子、みんなこんなつらい思いしてたなんて」

 瑞希がTS病で女性化してから3ヶ月が経っていた。
 普段、教室で瑞希が話してるとこなんか、
 まぁ普通に女の子にしか見えないんだけど、
 俺の前でだけ、瑞希は昔のままの男言葉で話す。

 一ヶ月ぐらい前、奴が俺に頼みごとをしてきたのがきっかけだった。
「相談なんだけど……友之と二人だけのときは……昔のままでいい?
 私が光紀だった時のままで」

 ……そうか。24時間、女の子を演じ続けるのは大変…ってわけか

「おぉ、いいぜ。おまえがそうしたいんなら。
 まぁ、ちょ~っと違和感はあるけどな、見た目」
「よかった……恩に着ます……じゃなくて…恩に着るぜほんとに、友之」
 少し頬を赤らめながら俺を見上げて微笑む瑞希に、
 そのときの俺は不覚にも動揺していた。


「ブラジャーってさ、てっきり、ほら『寄せて上げて』みたいに」
 そう言いながら、奴は自分の胸の下に手を当てて持ち上げ、そして寄せた。
 目の前で、こぶりながらちゃんと形のあるものが、それなりに変形する。
 奴が俺の部屋に来てて、いつのまにかそんな話になってた。

 いや、服は着てるとはいえ、そんなにリアルに目の前で実演されても、
 俺的にはリアクションとりにくいわけで……

「形とか、なんだったら容量の少なさまで誤魔化しちゃおうかって、
 そんなもんかと思ったんだけど、全然違うんだよなあれって。
 この間うっかり着けないで一日過ごしてたら、なんか胸の辺りが痛くなって。
 ほら、お前と公園で 1on1 やったあの日だよ。
 風呂入ってよく見たら、先っちょがすれて赤くなってて、
 おまけにちょっと血がにじんでてさ、ほんと、驚いた。
 結構必要性あるんだよ、あれは、飾りって言うより。
 今だって慣れないけどな、胸がしめつけられるあの感触だけは」

「……そっか。結構大変なんだな、女の子やるのも」
「ほんとだよ」

 最初はそんな感じで、奴の直面した困惑とトラブルを結構聞かされた。
 他の誰にも話せないことを、奴が自分の体に慣れるまでは聞いてやろうと、
 簡単に考えてたが、平静を装って話を聞くのは正直しんどかった。

 流石にナプキンの話になったときは、俺もキれて「やめろ!」と怒鳴った。

「あっ……  そ、そうだよな。悪ぃ…気をつけるよ」

 そんなことがあってからは、あまりきわどい話を奴が口にすることはなくなった。


 今、瑞希はありのままに飾ることなく俺に笑顔を向けている。

 最近、姿かたちだけじゃなく、表情とか仕草とか、そんなものまでが
 やけに女っぽくなってきてる。

 それと同時に、瑞希本人も、今の自分にだいぶ自信を持ってきたようで、
 日常の中で、前に比べて格段に明るく振舞うようになっていた。

 でも俺はそんな瑞希を前にして、
 ただただ自分の視線が下へ下へと向かおうとするのをこらえるのに必死になってた。

 悲しいかな、男の本能は、毎度毎度、制服を押し上げる瑞希の胸のふくらみと、
 短めのスカートから見えてる白い太ももに、きっちり引き寄せられていて……
 そんな形で友達の信頼を裏切ることはいやだと思ってても……

「じゃ、帰ろうか?」
 唐突にベッドから飛び降りた瑞希が俺のほうを見てそう言った。
「あっ、あぁ」
 葛藤の世界にいた俺はなんとか意識を呼び戻して、かろうじてそれだけ答える。

「お世話になりました~ キョーコ先生」
「お大事にね。具合が悪くなったらすぐに来るのよ?」
「わかりました!」
 二人して保健室を出る。最上階のこのフロアは、ほとんど人通りがない。

「今日はありがとね」
 瑞希は普段の女の子モードになってた。
「え?」
「私のこと心配して来てくれたんでしょ?」
「まぁな」
「じゃ、お礼に」
 その言葉と同時に、瑞希は俺の腕に腕をからませてきた。
「ちょっ、なんだよ?!」
「全然もてたことのない友之に本日は大サービス!」

「で、で、で、で、」
「あれっ? 私じゃダメ? えり好みできる状態じゃないはずだけど」

 そ、そ、そうじゃなくて、お、おまえの胸が腕にあたってて………

 引きずられるようにして、そのまま階段の所まで来る。
「ほ、ほら、ここから先はやばいし」
 階段を降りれば人がいて、こんなふうにカップルの真似してると誤解されるし。
「そうなりゃお前だって、いろいろと」

「別に……私はそれでもいいんだけど……」
と瑞希は前を向いたまま独り言のようにつぶやいた。

 えっ?……、おまえ……今、なんて……

「冗~~談。友之、ドッキリした?」
「ばっ、ばかやろ~!!」

 いたたまれなくなった俺は、瑞希の腕を振りほどいて、
 階段を二つ飛ばしで駆け下りた。

 ……微妙に胸が高鳴ったこと、絶対、奴に気付かれたくなかったし。


 ポコッ。頭に軽度の衝撃が。なんだいったい?
 机に伏せていた顔をあげ、最初に目に入ったのは物理の山岸のさえないツラだった。
 寝起きに優しい顔とはいえない、どう見たって。
 授業内容に合わせるなら……打撃角度と到達点から逆算したベクトルと初速から…
 あほか! 意味ねぇ! 後頭部にくらったんだから、迷うことなく後ろだろうが!

 振り向くと、席の主、瑞希の手にはプラ定規が握られてた。
 おまえか!なんだよいったい?
 すると山岸に見えないように顔を低くした瑞希の口だけが動いた。

 『お・き・ろ!』

 ……そうだった。もう1回授業中に寝たら赤点だって、
 山岸の野郎、んなことをこの前。
 やばい。俺はあわてて前を向く。どうやら奴には気付かれずにすんだようだ。

 授業内容はちんぷんかんぷん、これはいつも通り。
 でもいつもと違って、俺は眠れるどころの騒ぎじゃなかった。
 さっき瑞希が上半身をこっちに倒したとき、
 のどから胸元までの白い肌とブラの一部が俺の視線に飛び込んできた。
 その光景が今も目に焼きついていて。…不肖の息子が激しく反乱を起こしてるし。
 あいつは男なんだからダメだって言ってんのに、My Son ぜんぜん聞きわけがねぇし~

 肌、めちゃくちゃ白くて、薄いピンクのブラはレースの飾りで縁取られてて。
 そこんとこから、胸がかすかに隆起を始めてるのがしっかり見えてて……
 ……その1時間は俺の人生の中で一番長い1時間だった。

「どうしたの? さっきの時間、あれから全然眠そうな雰囲気なかったし」
 授業が終わって瑞希が話しかけてきた。
 言えねぇよ。口が裂けても。言える訳がない。当の本人におまえに発情してたなんて。

「まいっか。ところで、今日は何時ごろ帰れるの?」
 瑞希と俺は微妙に選択科目が違う。でも、
「なんで?」
「うん、ちょっと話したいことがあって」
「なんだよ? 別に今でもいいだろ?」
「ここじゃちょっと…」

 よくわからんが、なら、
「そっか。え~っと今日は、多分5時ごろ。それでいいか?」
「うん。じゃ下駄ばこのとこで待ってる」
「了解」


 思ったより時間をくった。あわててカバンを持って待ち合わせの場所に向かう。
 靴を履き替えたがここには居ない感じだ。どこに行ったんだ?

 …いた。瑞希はすぐ外の花壇のふちに座って、校庭を眺めていた。
 夕日の中に彼女の髪が揺れている。ときどき風に乱れた髪を手でかきあげて。
 そのときの横顔がドキッとするほど可愛かった。

 ……もう、そこに居るのは俺の知ってる光紀の面影なんかまるでなくて、
 ふつうの一人の女の子、『瑞希』だった。

「あ、どうしたの、友之?」
 俺を見つけた瑞希が、立ち上がりスカートのすそを払ってから、
 ゆっくりと近寄ってきた。

「いや、別に」
「なんかヘン」
「だからなんでもねぇって!」
「絶対おかしいよ」
「だから!」
 俺はまとわりつく瑞希の腕を振り払った。俺としてはとても軽く。

「きゃっ!」
 悲鳴とともに瑞希の体がバランスを崩す。あわてて肩をつかんで引き寄せた。
 なんか…すげぇ…軽かった…予想外に。

「手!」
「?」
「痛いから」
「あっ」
 とっさのことで、俺は力いっぱい瑞希の肩をつかんでた。手を離す。

「んもう~ もっと優しくしてよ~ 私、これでも女の子なんだから」
「ご、ごめん」
「あ、殊勝なんだ。じゃね、そうだ! この件は駅前のミスドで勘弁してあげる」
「ったく。油断もすきも無い奴だなぁ、あいかわらず。わかった、おごるよ」
「やったぁ~!」


part.2