コータとマコ

TVドラマ 海の上の診療所



「ちゃんとして!」

いつもなら、この言葉と同時にスリッパの打撃音が響き、航太が頭をかきながら謝るところなのだが、今日はかなり違っていた。

だいたいが、今ここは診療船の後部デッキではなく、ホテルのベッドの上であって、
なおかつ航太も眞子も裸だったりするわけで……

そう、はっきり言ってしまえば、二人はエッチの真っ最中だった。


航太が瀬戸内を巡る診療船に着任してから、幾度となくバトルを繰り返しながらも、いつしか互いの気持ちの起伏さえ寸分の違いもなく読み取れる関係になって、それが恋に変わるのにさほどの時間はかからなかった。

そして、二人はスリッパを介在させないディープなコンタクトの時間を迎えている。

二人だけで。なかよく。


先ほどの眞子の叱責に、開かれた彼女の両足の間から航太が顔をあげて、怪訝な顔で眞子の顔を見あげて問う。

「なに?」

眞子は思わず声のするほうを見てしまったが、自らのささやかなふたつの乳房と陰毛の先に彼の顔があるというシュールな光景に、あわてて横に視線をそらす。

「だ、だから、へんなことしないで!」
「これのこと?」

そう言うと同時に、舌先で亀裂を下から上になめ上げ、最後にクリトリスをはじくようにした。彼女の体が大きく跳ね、くぐもった声がした。

「これって、ぜんぜん変なことじゃないと思うんだけど」
「で、でも、恥ずかしいの!!」

「わかった」
そう言うと航太はベッドサイドのテーブルへと向かった。

クラッチバッグから小さなものを出し自らに装着した後、ベッドへと戻る。四つんばいになり、眞子の横にたどり着くと、そこに寝そべった。

乳房に吸い付きながら、右手を眞子の股間に差し伸べ、両足を開くように促す。その意図を汲み、眞子は一度は閉じた足をおずおずと開く。

少なくとも恥ずかしさ的には、見られていない分、先ほどよりはマシだった。右腰に当たってる、ゴムを被ったやたら硬いものの異様な存在感を差し引いても。

そんな眞子の思いなど考慮されることなく、
自由を得た数本の指は、やわらかく形を変える陰唇をかきわけながら進んだあと、少しぬかるみはじめていた入り口へとすぐにたどりつく。

人差し指がスッとそこに当てられた。

「あっ」
天井まで届く手前で途切れてしまう、眞子の吐息。

時をあけず、それはゆっくりと粘膜の内側へと侵入していく。痛くないように。驚かないように。節くれのない美しい指が眞子の内部へと徐々に突きたってゆく。ゆるゆると。

一方の眞子は、もたらされる不思議な感覚と恥ずかしさに、ただただ体を硬くし、目を閉じている。

目を開ければ真ん前に彼がいるわけで、いったいどんな顔で見ればいいのかがわからなかったせいだ。乳房を吸われ、指で大事なところをいじくられてる今の状態はとても言葉に表せないほどの事態なのだから。

痛いといえば痛い。しかし、彼がとても気をつかいながらすすめているのが分かっている。
今は航太に全てを任せるしかない…… 眞子はそう心に決めた。

そのうちに、本人が分かるほどの量の粘液が内部を満たし、
動く指にあわせ卑猥な音を立て始めるようになった。

眞子はかつてないほどの羞恥の中で身の置き場を無くし始めていた

頃合と見たのか、航太は体を離し、彼女の顔を見据える。

「じゃ、いいね?」
それは問いかけではなく宣言だった。
少なくとも、彼女の答えはこの部屋に入ったときから決まっていたのだから。

形式的な問いかけの返事など待つことはせず、航太は腰をすすめる。
押し当てられた彼のものがかすかに彼女の入り口を押し広げる。

痛み。失われるものと得られるもののせめぎあい。愛情。想い。
さまざまな感情と感覚がいちどきに眞子の体に押し寄せ覆い尽くす。

……混乱を解決する方法はたったひとつ。

「航太先生!」
そう言いながら彼女は彼の体にしがみつく。首筋に唇を押し当てながら。
『最愛のひと』にすきまなく体を寄せて。

「きょうのお姫様はやたら可愛い。あと航太先生じゃなくて航太ね?」

からかうような口調に思わず眞子は体を離し目を開けた。この期に及んでわたしをからかうなんて、どれだけ……

タイミング良く唇を重ねることで航太は眞子の反論を止める。繋がった粘膜からもたらされる感触に彼女は思わずのめりこんでしまう。

唇が離れても、気づかないほどの状態のまま、彼の声が耳に届いた。

「ほんとうに可愛いんだからしょうがないだろ?」

至近距離でそんな言葉を吐かれ、思わず目を開けると、航太の微笑がそこにあった。
彼女は顔を真っ赤にして絶句する。

「あー たまらん! 無理」

「ごめん。オレやさしくできないかも。ほんとにごめん。ゆるして、眞子ちゃん」

言葉と共に、航太の下半身の一部が、眞子のひだをかきわけて奥へと進む。一瞬、本能的に胸板を押し返して逃れようとした眞子に対して、男は動きを止め、彼女の体を包み込むように抱きしめ、耳元で囁いた。

「大丈夫だから。こわくない、こわくない」

その言葉と共に、眞子の体のこわばりがスッと消えた。

二人が見つめあう中、下半身ではゆっくりと奥へ侵入が始まる。ときおり眞子の表情にピクリと痙攣が走るのは痛みのせい。それでも二人は互いの瞳の奥へ思いを伝え合っている。

そして全てが埋め尽くされた。すきまもなく。

体をつなげ、思いをつなげ、二人の距離を零にした瞬間。二人はそれぞれに、押し寄せてくる情動の大きさに驚かされる。

日々の診療現場で医者と看護士として絶妙なタッグを組んでいた二人ではあったが、こうして、ただの男と女としての関係においても、これほどまでに幸せな時間を共有できるとは予想していなかった。

そんな相手と、この瀬戸内の海でたまたまめぐり会うということも……

「すごいね」
「うん」

互いの想いが同じであることは、いとも簡単に確認できた。

航太の腰が動き始める。

一度ゆっくり抜いていくと、眞子の陰唇が彼のものに絡むようにまとわりついていく。まるで引き止めるかのように。

ほとんど抜かれ先端のみ中に有る状態から、反転して押し込むように中へと再び入り込む。まだ痛むのか、ときおり彼女が体を震わせる。そのたびに航太は動きを止める。

「いいよ、もう大丈夫」
「?」
「だから航太せ……こうたの好きにして」
「お、おう」

許しが出て、男は動きを徐々に早くする。

先ほどまでは痛いだけでなにもわからなかった眞子だったが、
今は、自らの奥の状態がすこしつかめるようになっていた。

そう、今、体の中に突きこまれるものの先端が、眞子の子宮の入り口に当たっている。

ゴムで隔てられていたとしても、その存在感ははっきりとしていて、そしてそのこと自体が、彼女にとって予想外なことに……うれしい…ことだった。

「眞子! もう、オレ」

コドモ? 航太との子供? 今はまだ早いけど、きっと、

「すごく、いいよ! 眞子! 眞子!」

欲しいよ、航太、二人の、子供!

「いくっ!!」
「航太!」

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あてにならない男だと思ってた。初めて会ったときから。彼は、綺麗な女性と出会うたびに恋に落ちて、「お世話になりました。明日、船を降ります」と繰り返す、どうしようもないヤツだった。

でも、医療に関する事柄とか人の思いに対しての理解とか、見掛けと全然違ってて、そんなことに気づいた瞬間に、そう、眞子は彼を受け入れていた。

「さっき、オレがイく直前、なに考えてたの?」
頭をなでながら航太が眞子に問いかける。

「ないしょ」
「うわっ、もう秘密?」
「いいでしょ、女は謎があったほうが」
「そりゃそうだけどね」

「じゃ~ん。でもわかっちゃうんだなこれが」
「無理ムリ」

「ではお答えしましょう。眞子は『航太との子供が欲しい』って思ってた」

「えっ!?」
「おっと、当たってしまったか~ いやぁオレって出来すぎなのが唯一の欠点?」

「ど、どうして?」

「かんたん。さっき奥まで入れたときに、眞子の奥のほうで子宮口が降りてきて、オレの先端のほうにねちょねちょからんで、おっと、思い出すともう、ウヒッウヒッ」

パカーン!!

「ちゃんとして!」

仁王立ちする眞子のその手には、いつのまにか青いスリッパが握られていたのだった。

    Fin

初出 2013/11/19
【うpろだ】専用スレのないSS その3【代わり】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1319038014/216-221