Home Position

Home Position 1/4


-----*-----*-----*-----*-----*-----

ここか。値段かなり高そ~

私は暗闇にひかるマンションを見上げていた。さっきのひと、結構いいとこ住んでるんだ。へぇ~

綺麗で明るいエントランスをくぐると、郵便受けがずらっと並んでいた。反対側にテレビカメラとロック解除用の装置。すぐ横には自動ドア。セキュリティつきか~

えーっと、そうだ。長崎さんって言ってたよね確か。部屋は‥‥ ここを押せばいいのか。612、っと。

呼び出し音が2回鳴って、すぐに男の声で答えがあった。

「はい」
「お昼にお電話いただいた、片岡です」
「どうぞ」
同時に、ロックが解除されたことを機械的な女性の声が告げる。

音も無く開閉するエレベーターを降り、廊下を歩く。612号室。白いパネルには「長崎 真二」と書かれていた。

部屋をノックすると、ゆっくりとドアが開く。

私を見ながら男が言葉を発した。
「こんにちわ」
音量の小さな声だった。

多分、私より少し歳上、30ぐらい。短めできちんと分け目のついた髪型。風呂上りなのか、ブルーのショートパンツにTシャツ、その上に白いヨットパーカーをはおっていた。趣味は悪くない。

「長崎さん、ですよね? 初めまして、片岡理沙です。あの、今回はありがとうございました。拾っていただいたパスケースには、結構個人的に大切なものも入っていて。もし出てこなかったらどうしようかと思ってました。」

「そうでしたか‥‥ あ、今とってきますから、ちょっと待っててください」

いそいそと歩み去る男。ドアを開けたままなのも変なので、中に入りドアを閉める。いちおう形ばかりのお礼に、お菓子も持ってきていた。


始まりは、朝、会社でメイクを直しているときに、偶然、バッグの中にあるべきパスケースが無いことに気づいたところから。昼休みに駅まで行って確認しなきゃ、と思ってたところに、私のパスケースを拾ったという男から電話があった。

ついてた。

聞いたら、その人の自宅は私の帰り道に近く。夕方に携帯に一度電話入れて私が行く、という段取りにした。

そんな今日の一日を思い出しながら、男の消えた方向を見ていると、急に視界がぼやけ始めた。

うわ! なんだこれ! やばいよ、へんだよ、

そう思う間もなく、私は立っていることさえできなくなっていた。残されたかすかな意識の中で、倒れることなく真下に座り込もうと努力する。

お尻に床の固い感触があって、無事に着地ができてホッとした瞬間、私の意識はプツンと途切れた‥‥‥


「 ‥さん‥‥ だいじょう‥‥‥‥ 聞こ‥‥ かりますか?‥‥」

途切れ途切れの言葉が私の頭の中に響いている。

なんて‥ 言ってるの? 

意味不明の言葉しかない暗闇のなかで、どんどん不安がふくらんでゆく。気づいて、閉じていた目を開ける。

誰かの顔。こちらを見てる。焦点が合うにつれて、それが男の人だとわかる。えっと、なんて言ったっけ、この人‥‥

そして徐々に思い出す。そうだ。落としたパスケースを返して貰うためにここに。んで、突然に意識がなくなって、それで。

「大丈夫ですか? 片岡さん?」
そう、この人は、‥‥長崎さんだ。

「あっ、はい、なんとか」
「よかった」

そう言いながら、玄関に座り込んでいた私を引きずり上げて、廊下に座らせてくれる。まだ頭はいくぶんボーッとしてるけど、徐々に思考力が戻ってきつつあった。

そばに立つその人を、あらためて見上げた。でも今はなぜか、彼は戸惑いの表情を浮かべている。すごく‥ 困ってる?

「なに‥ か?」
「え?」
「だからあの、なんかとっても」
「‥‥」

「服が」
私の問いかけに答えるように、彼は短くそう言った。

「え?」
「いや、その服」
彼はわたしの体を指差す。

つられるようにその先、自分の体にゆっくりと視線をめぐらせる。驚いたことに、私はここに訪れたときとは全然違う服を着ていた。それも‥

間違いなくこれは、ベビードール。極端に生地の薄い、肌が透けて見えるような‥‥

気づいた。私は、下着さえつけてない! あわてて両腕で胸を覆う。

「どうして!?」
思わず大声で叫んでしまった。
彼を見る。なにか‥ 私にしたの?

問い詰めるような私の視線に答えるように、口元から言葉が吐き出される。

「こっちが‥ 聞きたいよ」

今日はクリーム色のスーツを着ていた。間違えようも無い。そして私は、イリュージョンを得意とするマジシャンでも、早変りの歌舞伎役者でもない。あたりまえのことだけど。

あるいは彼に悪意があったと考えるにしても、あんな短い間に、なにかが出来たとも思えない。

わけがわからなくなって、もう一度見上げる。今は、体をすこし斜めにしていた。私と正対するのを避けるように。

違和感。微妙に先ほどの困惑とはちがうもの。

気づいた。彼のショートパンツの中央部分が、変な形に盛り上がっている。

そう‥ このひとは今‥ 興奮しているんだ。原因は私‥‥ なんだろう。

視線の方向に気づいたのか、完全に私に背を向けて彼が言う。

「あ、誤解しないで。こ、これは単純な条件反射で、そういうカッコでいられたら、やっぱりいちおう男だから、どうしても。決して、あなたを襲おうとかそんなこと思ってないから、神にかけて誓う! 全然その気ないから信用して欲しい」

一瞬の間。空白の時。

次に起こした自分の行動と、同時に体の中から沸き起こった感情は、両方とも私の思いもしなかったものだった。

廊下をはいずって、彼の正面にまわりこんで、彼の腰を両手でつかみ、盛り上がったその中心部分に頬をよせていた。

素肌の両足に胸を押し付けるようにしながら。すでに乳首が両方とも固く立っているのは気づいていた。

「いとしい」
そうとしか言いようの無い気持ちが私の心を満たしている。

この人がいとしい。そして、目の前で固くなっているそのおちんちんも、同じようにいとしい。

自分を女として充分に認めてくれていることの証は、いまも力強く私の頬を押し返している。脈動をくりかえしながら。

-----*-----*-----

「かっ、片岡さん、そんなこと」
私の肩がおさえられ、引き離そうとする力が加えられた。

私はそのまま上を見上げる。
「させて? ね?」

ためらいは何も無かった。とてもあたりまえのことのように、私は目でその希望を伝えた。

返事を待つことなく、彼のショートパンツを下ろす。あきらめたのか、あるいは誘惑に負けてしまったのか、認めたのか、私の肩に掛かっていた手が力をなくす。

腿までおろしたところで、強烈な勢いで飛び出したおちんちんが私の顔を打った。さすがに驚く。こういう経験はしたことが無かった。私が唯一ベッドインした異性、前カレとのセックスでも。

「あ、ごめん」

その言葉に答えることもなく、そのまま目の前のものを口に含んだ。

うめき声が聞こえる。私は、この瞬間を最大限楽しみたくて、最初に唇と舌でおちんちんの形をなぞった。

先端から膨らむ曲線。突然くびれているところ。私の唇と舌は、もう何年も繰り返しこうしていたかのように、意識して動かそうとしなくても、なめらかに這いまわっている。

「か、か、か、片岡さん!」

私はおちんちんから唇を離し、上を見あげ、ひとことだけ言った。

「私じゃ、だめ?」
「いえ、そんなことはない‥ 全然‥ いいんだけど」

全てを聞く前に再びくわえ、こんどは前後に大きく動かす。強く、弱く。早く、遅く。

横からくわえてキスするように吸い込んで。おちんちんの下の袋にもキスして。

あらためて正面からくわえて、その感触自体を楽しんだ。唇を強めに締めて、激しく前後に動かしてみた。

そんな動きを繰り返しているうちに、両手でつかんでいたカレの太ももが急にこわばった。

「あ! あ! もう!」

その声と共に、口の中のおちんちんは大きく膨れ上がって、突然にのどの奥になにかが勢い良く飛んできた。

ピクンピクンと動きながら、何度もくりかえし。

咳き込みそうになりながら、なんとかこらえた。

彼の精液。少し苦かった。生あたたかさで口の中がいっぱいになった。

「フーッ」
頭の上で長い吐息が聞こえた。

その満足げな響きに私は妙にうれしくなって、口の中にたまっていたものを一気に飲み込んだ。

「ゴクッ」
静かな部屋の中に、自分でも驚いてしまうほど大きな音がした。

突然、彼の手が伸びてきて両脇に差し込まれ、強い力で引き上げられる。すばやく両方の肩紐が外され、唯一身にまとっていたものは足元に落ちた。私の体を覆うものは、もうなにもない。

彼に抱きしめられ。キスをされた。長い、とても長くて甘いキスだった。

-----*-----*-----
Next